宵山万華鏡 - Continuous Diggin'

先日読みました。

森見さんの作品の装丁は大体中村さんが書いているイメージだったのだけど、最近の文庫はそうでもないらしい。

各章で違う主人公の話を描きながらも、その中で話がつながっていく様は、森見の真骨頂という感じがした。及川さん、山田川さんなんかのキャラクターは、いつもの京都の大学モノのテンションをそのまま維持しているけど、この作品では後半の不気味さがすごく印象に残った。お祭りの、がやがやと賑やかな情景と、どことなく神秘的で不気味な様を両方とも表していて、今までの作品にはない読後感だった。どことなく、恩田陸の短編集の不気味さと似ているような似ていないような。全然わかんねーよと突き放したい気もするがなんか惹かれてしまう、そんな不気味さが味わえるという意味で楽しめた作品だった。